葬儀の挨拶の基本
人生の最後を飾る厳粛な葬儀での挨拶は、ことに慎重でなければなりません。 死者への礼を尽くすと同じに、遺族へのあたたかい心配りも忘れてはならないことです。死を悼む心と生前のその人の徳をたたえ、冥福を祈る気持ちを込め、さらには遺族への心情を思いやって、励ましと慰めの気持ちを素直な言葉で表わすことです。何よりも大切なのは、形よりも、葬儀が終るまで敬虔な態度を持つことです。帰宅して喪服を脱ぎ終るまでは、厳粛な気持ちを持ち続けたいものです。
お悔やみの挨拶
日頃親しく行き来している家の場合
死去の知らせを受けたらできるだけ早めにその家を訪れ、「まさかと思っていましたのに、このようなことになり、何とお悔やみ申し上げてよいか、私自身も身内をなくしたような気がいたします。せめて何かお手伝いでもさせてください。」というような、心のこもったお悔やみの言葉を述べると同時に、下働きなどを買って出てもよいでしょう。
一般の弔問の場合
先方が受け入れる用意のととのったころあいを見計らって訪れ、「この度はほんとうにご愁傷さまでございます。」「思いがけないことで、どんなにかお哀しみのことでございましょう。お疲れが出ませんように。」などと、心のこもった簡単な言葉でお悔やみを述べ、取り込み中のことを考え、長居しないことが大切です。
お通夜の挨拶
お通夜は、本来、故人と親しかった人達が霊前に集まり、夜を徹して故人を偲び、思い出話しなどを語り合って死者との別れを惜しむための席なのです。しかし、一般の人で告別式に出られない場合などに参加するときは、なるべく定時刻に着くようにし、弔問客の多いときですから、「どんなにお力落としのことかと存じます。心からお悔やみ申し上げます。」とか、「おつらいことでいらっしゃいましょうが、どうぞお気を落とされませんように。」などと、簡単な挨拶を心を込めて喪主に述べます。花や供物のある場合は、「どうぞお供え下さい。」と言葉を添えて手渡します。霊前に線香を上げて焼香し、遺族の席に頭を下げて席に着き、故人の冥福を祈る気持ちで座していて、一、二時間程度で再び霊前に参ったあと、そっと立ち去ります。
弔辞のポイント
弔辞とは、告別式の時に、故人と親しかった人が、その霊前に永遠の別れを惜しむ言葉を読み上げるものです。読み上げるときは霊前に向かって、「あなた」というような第二人称で呼びかける形式をとりますが、実際その場で聞いているのは第三者の遺族や会葬者なのです。なぜ哀しいのか、故人とはどのような関わりを持っていて、こんな所を尊敬していた、こんなに優しい人であった、その人を亡くして、いま哀しみに暮れている、ということを自分なりに表現できればよいのです。方法としては、エピソードを簡単に紹介するのが一番良いでしょう。日常使う言葉で、素直に真心を込めて、故人に話しかけるつもりで読み上げることです。読み上げるときは、感情をおさえて姿勢を正して読みます。そして、低く静かに読み始めていくことです。妙な抑揚をつけたり、あわてたりしないで言葉の語尾をはっきりさせます。実際の場になると、なかなか冷静に読むことは難しいものですが、やはりしゃくり上げながら読むというのも聞き苦しいものですから、そんな時はいったん読むのをやめ、涙をおさえてから再び読み続ければいいのです。むしろ、涙をおさえているその間というものが、どんな美しい言葉よりも遺族や会葬者たちの胸を打つものとなるでしょう。
弔辞の文例
上司として
よもや君の御霊前で、このような弔辞を読むようなことになるとは思ってもみませんでした。君がかぜをこじらせて入院されたと伺ったとき、君はわが社の営業責任者のポストに就いたばかりで、君の責任感から残業が続いていたため過労が重なっていたことでしょう。そのときは、休養も天の啓示だと考えていました。お見舞いに伺ったときも、君はいつもの冗談で我々を笑わせてくれました。まさかこのようなことになるとは…仕事を愛し、誰に対しても、どんなときも笑顔を忘れず、周囲を和やかに包みこんでしまう君でしたから家庭においても良き夫、良き父であったことでしょう。それだけに残された奥様、お子様方のお悲しみはいかばかりかと胸の塞がる思いが致します。今後私どもは、できるかぎりのご協力をさせていただきたいと考えております。○○君、どうぞ心安らかにお眠り下さい。
友人として
○○君、君はなぜ私たちを残して一人天界に去ってしまったんだ。君とは小学校から高校までも一緒の親友だった。今年の春社会人になるまではいつも一緒だった。それが、別 々の道を歩みはじめて半年たったら突然こんなことになるなんて…君の体を恐ろしい病魔が襲っていたことを君自身気づいていなかったとか。僕は知らせを聞いてただ呆然、生まれて初めて号泣しました。今、僕は君の霊前で、君という友を得た幸せを永久に忘れずに生きていくことを誓います。○○君を亡くされたご両親のお気持ちは、まさに断腸の思いそのものであろうとお察しいたします。僕もなにかお役に立ちたいと思っています。君への思いはいつまでも尽きません。どうか安らかに眠って下さい。
喪主の挨拶
次のようにまとめます。
一、会葬してくださったことへのお礼。 二、故人が生前にお世話になったことへのお礼。 三、故人の回想。 四、遺族への支援の依頼。
哀しみに暮れながらも、会葬者へのお礼の気持ちを述べます。遺族代表の挨拶は、喪主かその代理の親族がします。聞いている会葬者も、遺族が哀しみをこらえて挨拶を述べることは辛いだろうと察していますから、簡単なもので十分です。できるだけ感情に走らず、平静な口調で話せる努力をしたいものです。
法要の挨拶
施主側は、出席者への感謝と故人の思い出、遺族の近況を織りまぜた挨拶をします。月日がたつにつれ、法要の雰囲気も和やかにしてよいので、招かれた側もさりげなく明るい話題や、故人に関するエピソードを話す心がけをしましょう。